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イグ・ノーベル賞。(裏・ノーベル賞) 「イグノーブル」(Ignobul。品のない、あさましいの意)と、「ノーベル(nobel)賞)」を掛け合わせた造語で、世間を「いかに笑わせ」「いかに考えさせたか」を基準に、その業績に対して贈られる賞として、1991年に設立されました。 イグ・ノーベル賞の選考委員には、「ユーモア科学研究ジャーナル(AIR)」の編集者たち、科学者(ノーベル賞を受賞した科学者もいるようです)、ジャーナリスト等で、最終決定には、たまたま通りかかった人を捕まえて投票に加わってもうらことが伝統となっているようです。イグ・ノーベル賞には、生物学賞・物理賞・平和賞・経済賞・化学賞・心理学賞などの10部門で構成され、毎年各部門において、風変わりな研究や社会的事件などに対し、時には笑いと賞賛を、時には皮肉を込めて、ハーバード大学のサンダース・シアターという講堂で本物のノーベル賞受賞者らも出席し授賞式が行われています。 2002年に、「コンピュータで犬の言葉を人間の言葉に翻訳する機械を人類史上初めて発明し、人間と犬の平和的な対話を促進した偉業」を称え、タカラの犬語翻訳機「バウリンガル」開発者が、イグ・ノーベル平和賞を受賞して、日本でも結構知られるようになりました。 昨年(2003年)のイグ・ノーベル化学賞には、金沢大学の広瀬幸雄教授が、「ハトに嫌われた銅像の化学的考察」により受賞しました。(これだけじゃ、内容がわからないですよね。) 広瀬教授は、1988年、金沢市の兼六園にある日本武尊像の修理改修の際、ハトの糞で像が汚れていないことに気がついたそうです。そこで銅像から少量の金属を採取して成分を分析したところ、砒素が混ざっていることが判明しました。この銅像は、非常に古く銅像を作る技術が低かった明治の初めごろに作られたらしく、砒素を混ぜることで融点を下げ低い温度でも加工しやすくするためだったようです。 それから15年ほどたった2002年、知人の訪問を受けたことがきっかけとなり、この仮説を確かめるために像と同じ化学成分の合金をシート状に加工したものを用意し、鳥の反応を観察したのです。結果は、ハトもカラスも寄り付きませんでした。 (しかし、なぜ金属にヒ素が含まれていることをわかるのか? 実は、その仕組みは、いまだによく分かっていないそうです。鳥には、人間の何倍もの探索能力があるから、敏感にキャッチしているのかもしれません。) このような合金を開発し、ハトのフン害に解決の糸口を見つけた功績を称えての受賞だそうです。本人としては、いたって真剣な研究で、しかも専門外のことだそうですが・・・。 「日常いたるところにアイデアがある。ちょっと興味をもってみるだけで、普段とは違ったものの見方ができる。」と広瀬教授は語っています。 過去、このイグ・ノーベル賞の日本人受賞件数は、9件。 受賞タイトルを見るだけでも、(?!)と思うような内容ですよ。 1992年 医学賞 「足の匂いの原因となる化学物質の解明」 神田不二宏(資生堂研究員)ほか 1994年 物理学賞 「地震はナマズが尾を振ることで引き起こされるという説の検証」 気象庁 1995年 心理学賞 「ハトを訓練してピカソとモネの絵を区別させることに成功した功績」 渡辺茂(慶応義塾大学教授)ほか 1996年 生物多様性賞 「古生代石炭紀(約3億年前)の石灰岩中に、ミニ恐竜、ミニ馬、 ミニドラゴン、ミニ王女(?)などの全長0.3ミリ程度のミニ生物を発見した功績」 岡村長之助(岡村化石研究所) 1997年 経済賞 「バーチャルペット「たまごっち」の開発により、数百万人分の労働時間を仮想ペット の飼育に費やさせたことに対する功績?」 舞田亜紀(バンダイ)ほか 1997年 生物学賞 「ガムを噛んでいるときに、ガムの味により脳波はどのようにかわるのかという研究」 柳生隆視(関西医科大学)ほか 1999年 化学賞 「夫のパンツに吹きかけることで、精液の跡を発見できる浮気検出スプレーの開発」 牧野武(セーフティ探偵社) 2002年 平和賞 「犬語翻訳機「バウリンガル」の開発により、人と犬に平和と調和をもたらした」 佐藤慶太(タカラ)ほか 2003年 化学賞 「兼六園にある銅像にハトが寄り付かないことをヒントに、ハトやカラス除けの 合金を開発」 広瀬幸雄(金沢大学教授) 「日本の教育は画一的で、独創的な研究者は育たない」とか、2002年に行われた高校生を対象とした学力テストの結果では、全般的に学力が低下しているとの報道がされました。でも、日本人のイグ・ノーベル賞の受賞件数は9件で、イギリスと並んで受賞大国なのだそうです。 「実は、日本はユニークな研究の超大国なのだ。我々日本人は、そのユニークな独創性にもっと自身と誇りを持って、世界に挑戦していくべきではないだろうか。」と、『イグ・ノーベル賞』(マーク・エイブラハムズ著 阪急コミュニケーションズ発行)の訳者の福嶋俊造氏は述べています。 「天動説」が常識の時代、「地動説」を唱えたガリレオ・ガリレイは異端の説でした。しかし、現在では誰もがしっている常識となっています。イグ・ノーベル賞を受賞した「今は滑稽にみえる研究」でも、いつか人類の進歩につながる研究が出てくるかもしれませんね。 「イグ・ノーベル賞」 マーク・エイブラハムズ著 阪急コミュニケーションズ発行 その他のイグ・ノーベル賞 考古学賞 「清掃活動中、歴史的遺産であるメリエール洞窟の古代壁画を落書きだと思って消してしまった」 フランスのボーイスカウト 心理学賞「地球外から来たエイリアンに自分は誘拐されたと信じ、その目的は子孫を作ろうとすることにあるという、論理の飛躍した仮説を立てたため」 ジョン・マック(アメリカ ハーバード大学)、デービット・ジェーコブス(テンプル大学) 化学賞 「水には記憶力があるだけではなく、記憶された情報が電話線やインターネットを通じて伝達できることを実証した功績」 ジャック・ベンベニスト(フランス) 平和賞 「演習の際、海軍砲術学校の研修生に砲弾の使用を禁じ、代わりに口頭で「バーン」と言うことを命じた」 イギリス海軍 生物学賞 「オナラの臭いを除去する炭素フィルター付きパンツを発明」 バック・ウェイマー(アメリカ) 医学賞 「BGMを聴くと免疫グロブリンAが活性化し、風邪の予防になるという事実を発見」 カール・J・チャーネツキ他(アメリカ) |