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Beer



 「世界に地酒と呼べるのは、世界で3つ。ワインと日本酒、そしてベルギービールだけ…」
 ビールの歴史は、紀元前3500年頃のメソポタミア文明最古のシュメール人たちの時代に遡ります。これは、遺跡から発見された粘土板に残された楔形文字を解読した結果、当時のビール造りの様子が記載されていることから分かりました。次に明らかになっている古代のビール造りは、紀元前3000年頃のエジプトにおけるもので、そのプロセスが墳墓の壁画に残っていました。その後、ビールは重要な飲み物として各地に受け継がれ、ゲルマン民族もビールを造るようになり、古代ローマ帝国崩壊後、ヨーロッパ中に広がったキリスト教は、修道院を中心にワインを普及させましたが、同時に一種の栄養源としてビールも造っていたといいます。
 ビールには、大麦(副原料で米、コーンなど)を原料に、ポップ、酵母、水からなり、種類は1,000以上に及びます。また、製法によって、低温で比較的じっくり発酵させる、すっきりとした味わいの下面発酵。比較的高い温度で発酵させる、香りとコクの上面発酵。野生の酵母を使った強い酸味をもつ自然発酵の3タイプに分けられます。
 上面発酵では、摂氏15〜20度ほどの常温で発酵、3〜4日でだいたい発酵がおさまり、その後1〜2週間熟成させます。(エールタイプがこれに属します。)また、下面発酵は、摂氏5〜10度の低温で5〜7日ほどの発酵の後、0度ほどで3週間から3か月熟成させます。世界の主流は、下面発酵の代表格ラガー・ビール。特にピルスナー系は有名で、国産のほとんどがこのタイプです。地ビールもピルスナーが多いが、それ以外の種類も豊富です。
 また、生ビールというのは、ろ過も加熱殺菌も行っていないビールのことをいい、ミクロフィルタやセラミックフィルタでビールに残っている酵母を取り除いてから、ビンや缶に詰められます。それに対し、通常のビンや缶詰めされたビール「熱処理ビール」は、ビンや缶の容器ごと60度の温水に20分ほど浸し、含まれている酵母などの微生物を殺してしまうもので、安定化が図られ、長期流通・保存に適しています。
 ビールの原料は、麦芽とホップと水です。麦芽(モルト)は一般的に大麦の麦芽です。麦芽とは、その名のとおり麦を発芽させた後、乾燥させその成長をとめて、根だけ取り除いたもののことです。麦芽はビールの豊かな味わいと香りをつくり、乾燥方法の違いによって、大きく3種類に分けられます。淡色麦芽(ビール色を生む麦芽でピルスナータイプのビールに使用)、濃色麦芽(褐色を生む麦芽で濃厚ビールに使用)、特殊麦芽(黒褐色を生む麦芽で黒ビール等に使用)の3種類です。ポップはビール独特の風味を作ります。ビールにホップを加えるのは、苦味と香りの成分を抽出するためです。また、水へのこだわりがうまいビールを生み出します。ビールの成分の90パーセント以上が水ですから、うまい水がうまいビールを生むのはあたりまえです。特に重要なのは、その水が軟水か硬水のどちらかということです。ミネラルが風味を決め、一般にミネラルの少ない軟水は淡色ビール、ミネラルの多い硬水は濃色ビールの醸造に向くといわれます。
 ビールの製品ラベルを見ると、原材料の項目に、麦芽・ホップ以外にも、米やコーンスターチといった表示がされているものがあります。日本では酒税法によってビールの原材料に関する細かい規定があるからです。これによると、ビールとは基本的に「麦芽・ホップ・水を発酵させたもの」ですが、「麦芽の重量の50パーセントを超えない限りで」米・トウモロコシ(表示はコーン)・コウリャン・デンプン(表示はスターチ)・糖類を使用することができると規定されています。これらが主原料と区別して副原料と呼ばれるものです。副原料はもともと麦芽(モルト)の代用として添加されてきました。副原料を使用した場合、モルト100パーセント使用よりも安価で製造できるという経済的な利点があります。また、それだけではなく、これらの副原料を使用することで、味に重い感じがなくなりすっきりとした感じのビールができます。
 この副原料が麦芽の50パーセントを超えて使用しているもの、つまりビール原料全体のうち副原料の割合が33パーセントを超えているものを「発泡酒」に分類されています。「発泡酒」というと、安っぽいビールというイメージがあります。でも、使われている材料はそのままで、あくまでも副原料を増やして割合を変えただけですし、そのうえ、酒税法でビールの原料として明記されていない副原料を使用した場合で添加率が50パーセントを超えていなくても「発泡酒」として扱われるそうです。最近の「発泡酒」は様々な種類が出ていて、楽しませてくれます。
 「日本地ビール協会」では、ワインのソムリエや日本酒の利酒師のようにビールをティスティングする専門家、「ビアテイスター」を養成する講座が開かれています。「ビアテイスター」は、泡立ち、透明度、香りや味わいの特徴、苦味、のどごし、アルコール度数などを評価します。
 では、私たちはビールの味をどの器官で強く感じているのでしょう。意外にも口ではありません。ビールは約900もの化学物質で構成され、そのほとんどが揮発性。ですから、ビールを味わうための役割を約70パーセントも鼻に依存しています。そう、ビールは鼻で楽しむのもなのです。ですから、ビールはグラスに開けて飲むのが正解なのです。
 また、ビールをさらに美味しく飲むために、ビールの種類(スタイル)についての知識を持つとよいでしょう。上面発酵(エール)、下面発酵(ラガー)では香りや口当たりなどが違ってきます。ビールは化学物質によって常に変化している飲み物ですので、取り扱いも注意が必要です。日光にあたるところに置いたりすれば一発で台無しになってしまいます。

 暑い夏を迎えます。美味しくビールを飲みたいものですね。






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